なぜ「新しい」は常に過渡期を宿すのか

「今日新しいと思ったものも、いつかは古くなる」
この逆説は、ビジネスにおいて真実です。
新しさとは何かをゼロから作ることではなく、既存のものを組み合わせ・見せ方を変えることによって生まれます。

ただし、その新しさも永遠ではありません。
出したその瞬間から古くなり始める。
だからこそ「常に新しくあろうとする視点」が、企業や個人の差別化の源泉となるのです。

今回の勉強会では、「新しい」とは何か、どうすれば持続できる新しさをつくれるかを、具体例を交えて話しました。

新しいとは「組み合わせを変えること」である

新しい商品やサービスを作る必要はありません。今あるものをどう組み合わせるか、どう見せ方を変えるかが鍵です。

例として、飲食業でのメニュー展開を挙げます。

  • 現存するスープ×具材を組み替えて新メニュー化
  • 器・盛り付け・提供スタイルを変える
  • 季節要素やトッピングを加えて見せ方を差別化

こういった手法で、「新しい」価値をお客さまに提供できます。

また、場所や価格設定なども「組み合わせ」のひとつ。
たとえば、千葉県で2,500円だったものを3,000円にしつつ、サービスや内容を追加して新しい価値を提供する。
場所・価格・提供時間・付加価値の組み合わせを調整するだけで、商品の印象はガラリと変わります。

新しさはすぐに古くなる

「新しい」と感じるものは、実はとても儚いものです。
どれほど斬新に思えても、それが表に出た瞬間から古くなり始める。これが現実です。

たとえば新メニュー。
開発に時間をかけてようやく世に出しても、お客さまにとっては初日がピーク。
あっという間に他社に模倣され、やがて「どこでもあるもの」と化します。

つまり、「新しさ」とは消費されていく性質を持つものであり、それを一度出しただけで満足していては、すぐに埋もれてしまいます。

だからこそ大切なのは、「出したら終わり」ではなく「出した後からが勝負」だという考え方。
世に出した新しいアイデアや商品を、いかに改良し続けられるか、そして次の一手をどれだけ早く用意できるかが問われるのです。

また、新しいからと言って必ずしも良いものとは限りません。
お客さまの反応を見て、必要であれば修正し、次に活かす。
こうしたプロセスを繰り返すことで、本当の意味で価値ある「新しさ」が磨かれていきます。

つまり、「新しいものを考える力」だけでなく、「古くなったときにどう対応するか」こそが、プロとしての力量です。

「新しい」はすぐ古くなる。
だから、私たちは常に考え、常に動き続ける必要があるのです。

お米での挑戦:傑作米という名の組み合わせ商品

当社でも具体的な取り組みを始めています。
「傑作米」というブランド名で、お米そのものを商品化し、組み合わせと見せ方を変える挑戦です。

  • コシヒカリなど既存のお米を複数ブレンドし、風味・食感を変える
  • 炊き立て提供や器を変えるなど、見せ方を工夫
  • ご飯を、待ってでも食べたい体験に引き上げる

お客さまに「これまでになかった価値だ」と感じてもらえるよう、商品そのものではなく、体験と組み合わせで差別化を図っています。

新しさを生み出すための思考と行動

  1. 観察力を持つ
     外食、旅行、宿泊など、日常の中で「これはいい」「あれは改善できそうだ」と感じた体験を拾い上げる。
  2. 自店に落とし込む思考
     他店のサービスをそのままコピーするのではなく、「自分の店舗でどう実現できるか」を常に考える。
  3. 数多く提案する
     すべて通るわけではない。却下されても構わない。出し続けることで、必ずヒット案が出る。
  4. 改善・展開を繰り返す
     新メニュー・新サービスを出すだけで終わらず、実際に運用してフィードバックを得て改修する。
  5. 基準を持ちつつ柔軟に対応する
     「変わらないもの」と「変えていいもの」の線引きを持ちながら、新しさを取り入れていく。

新しさはゼロから生まれない

多くの人が「新しいこと=まったくのゼロから生み出すもの」と思いがちです。
しかし、実際の現場で必要とされる「新しさ」とは、既にあるものの組み合わせや視点を変えることから生まれます。

たとえば、食材は変わらなくても、器や盛り付けを変えるだけでお客さまには「新しい」と感じられる。
販売方法や提供タイミング、ネーミングを工夫するだけでも、その価値はまったく変わって見えます。
つまり、新しさとは「何を使うか」よりも、「どう使うか」にあるのです。

再構築こそ、新しさの本質です。

今日の学びシェア

新しいことを考え、提案しても、すべてが通るとは限りません。
むしろ、却下されるのが当たり前です。
でも、却下を恐れて何もしない人と、却下されても出し続ける人とでは、やがて大きな差が生まれます。結果を出すためには、何度も考えて、何度も形にしていくしかありません。

見て、感じて、学んだことを自分の現場に置き換え、「自分ならどう活かせるか?」と考える習慣が、やがてあなた自身の武器になります。
小さな再構築の積み重ねが、大きな成果を生みます。

新しさはどこかにあるものではなく、自分の手の中にある。
そう信じて、ぜひこれからもチャレンジを続けてください。

気づきのレシピはYouTubeでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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